「顎が痛い、顎の音が鳴る」その症状は顎関節症かもしれません

かみ合わせは全身に影響を与えます

顎関節症は、顎の関節に異常が生じることで引き起こされる疾患です。
顎関節は、顎を開閉するだけでなく左右にも動かすことができ、私たちの日常生活における喋りや食事を可能にしています。
しかし、歯列不正などにより顎の関節がずれたり、かみ合わせがずれたりすることで、顎の関節の痛みや口腔周囲の筋肉の痛みにより咀嚼障害や開口障害を起こし、それがさらに頭痛・肩こり・めまいなどの二次的症状を引き起こすことがあります。

顎関節症の診断

顎関節症の診断

顎関節症の治療にはまず的確な診査診断が必要です。
診査診断は、まず患者様の症状について十分にヒアリングすることから始まります。
痛みの発生箇所や痛みの程度、それに関連する可能性のある生活習慣など、症状についての詳細な情報をお聞きします。
その後、レントゲンやマイオモニター、必要に応じてCTを使って顎の状態を詳しく調べます。
これらの検査によって、顎関節の構造的な異常やかみ合わせの状態、筋肉の緊張状態などを詳しく知ることができます。

マイオモニター

マイオモニターマイオモニターは、顎関節症やかみ合わせの問題の診断と治療において重要な役割を果たす先端医療技術の一つです。
一般的に、顎関節症やかみ合わせに問題のある方は、本来の正しい顎の位置からずれた状態でかみ合っている方が多いと言われています。
その場合、体にとって正しい顎の位置がどこか、自身では分からない状態で常にかんでいるということになります。
もし顎がずれているにもかかわらず、その位置で詰め物や被せものをした場合、本来とずれた位置でかみ合わせを確定していくことになりますので、ますます顎は正しい位置に戻れなくなってしまいます。
そこで本来の正しい顎の位置を調べ、また顎をずらす要因(歯と歯の干渉など)を同時に見つけるために、このマイオモニターを使用します。
この治療のカギとなるのが『顎の筋肉』です。
皆さんは下顎は操り人形のように筋肉に吊っていることをご存知でしょうか?「かんでいる状態」とは、口を閉じる際の左右の顎の筋肉の動きによって、結果的に歯と歯が当たっている状態を表します。
つまり、左右の筋肉の動きのバランスが悪ければ、間違った位置でかみ合わせているということになります。
少々難しい説明になったので、これをお読みの方は、ちょっと確認してみてください。
鏡の前で、口を大きく開けて、ゆっくり何も考えないで口を閉じてきてください。
そのときに、すべての歯が同時に当たっていますか?それともどこかの歯が先に当たりますか?とてもとてもゆっくり閉じてきたときです。
もし、早く当たる歯があればそれは『早期接触』といって、顎の位置をずらす要因となっている可能性があります。
マイオモニターを使用した検査では、顎の筋肉に電極を当てて電気的な活動を記録し、顎の筋肉の緊張を解放しリラクゼーションさせた状態の顎の位置を評価します。
これにより、最適な咬合位置を正確に判断することが可能となります。
さらに、マイオモニターは治療の進行を追跡し、その効果を評価するための有効なツールでもあります。
治療前後での筋肉の活動レベルの変化を視覚的に表示することで、治療がどの程度効果的であったかを評価し、必要に応じて治療計画を調整することが可能となります。
当院では、このマイオモニターを用いて、顎関節症治療をメインに、機能矯正治療でも事前に検査を行い、治療後のゴール目標を患者様と共有し、最も効果的な治療を提供することに最大限努めています。

顎関節症の主なタイプ

筋肉の異常

これは最も一般的な顎関節症のタイプで、主に顎の動きを制御する筋肉、そして首や肩の筋肉に痛みや不快感が生じます。
ストレス、長時間のデスクワーク、姿勢の悪さなどがこの症状を引き起こす可能性があります。

顎関節の異常

顎関節の内部に問題が存在する状態を指します。
顎関節の間接円板がズレたり、関節液が正常でなかったりすることで、痛みや動きの制限が発生します。

骨の変形

これは顎関節に関連する骨(主に下顎頭)が変形し、周囲の炎症を伴って痛みや異音を生じる状態です。

顎の異常活動

主にブラキシズム(歯ぎしり)と呼ばれ、顎関節に負担をかける行動を指します。

咬合異常

歯が欠けたり、クラウン(かぶせもの)がうまくかみ合っていなかったりすると、片側だけで物を食べることになり、それが顎関節に不均等な負荷をかけます。
咬合を修正する矯正治療や補綴治療が必要になります。

外傷

スポーツや事故による強打、異常に硬い食べ物を思わず強くかむなどの行為が顎関節に過剰な力を加え、顎関節症を引き起こすことがあります。

顎関節症の治療

顎関節症の治療方法は患者様の症状や状態によりますが、基本的にはかみ合わせの安静を図ることが一般的です。
まず、上記のマイオモニターで顎関節周囲の筋肉の緊張を和らげ、かみ合わせの安定を図ります。
その後、プラスチックで出来たマウスピースをしばらく口の中に入れて、顎関節とかみ合わせの位置を調整します。
その上で、かみ合わせ調整や矯正治療等を行います。

矯正治療と顎関節症の関係性

矯正治療と顎関節症の関係性

矯正治療は歯並びを整えるための手段ですが、その過程で顎関節症を引き起こす可能性があります。
歯の位置を変えるということは、同時にかみ合わせのバランスを変えるということでもあります。
このかみ合わせの変化が顎関節に負担をかけ、顎関節症を引き起こすことがあります。
また、矯正治療前にすでに顎関節症の症状があったにも関わらず、それが見過ごされ、矯正治療が進行すると、その症状はさらに悪化する可能性があります。
したがって、矯正治療を行う前には、顎関節の機能検査とかみ合わせの検査を十分に行うことが重要です。
また、治療中も定期的に顎関節の状態を確認し、早期に問題を見つけて対処することが、顎関節症を予防する上で大切です。

顎に対する違和感、そのままにしないでください

顎に対する違和感、そのままにしないでください

顎関節症は、さまざまな要因により顎関節や周囲の筋肉、骨に問題が生じる疾患です。
歯ぎしりや食いしばりのような顎の活動、歯の咬合の問題、外傷や炎症、そして顎関節自体の内部異常など、原因は多岐にわたります。
また、これらの問題は頭痛や肩こり、咀嚼障害、開口障害などの二次的症状を引き起こす可能性があります。
診断にはパノラマレントゲンやCT、マイオモニターなどの機器が用いられ、症状や原因によって最適な治療法が選択されます。